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人権に関するデータベース

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研修講義資料

東京会場 講義7 平成27年9月30日(水)

「集客力がアップする、効果的な広報物の作り方」

著者
坂田 静香
寄稿日(掲載日)
2016/03/09

1.自己紹介
 全国女性会館協議会の坂田と申します。よろしくお願いします。
 私は、今、特定非営利活動法人全国女性会館協議会の事務局長兼常任理事です。この全国女性会館協議会というのは全国の男女共同参画センター、女性センターを束ねているネットワーク組織で、中間支援にあたるようなこともやっています。
 生まれも育ちも福岡県の出身です。福岡にいた時には、国内線の客室乗務員として11年間勤めていました。そこでは、お客様にサービスをする、お客様の安全を守るという仕事はして来ましたけれども、企画を立てる、広報をするといった仕事はやったことがありませんでした。
 仕事を辞めて東京に移り住んだのが、17年前になります。専業主婦になって、ある程度時間に余裕ができたので、男女共同参画に関する市民活動をやりたいなと思いました。なぜかというと、私の生まれ育った町は結構男尊女卑の風習の根強い町だったので、「女のくせに」、「女だから」という事で嫌な思いをいっぱいしてきたからです。そこで、時間ができたらそういった活動をしたいなと思っていたのです。
 東京に出て来て、男女共同参画に関するNPOを作ったわけですが、そのNPOが2004(平成16)年から都内の男女共同参画センターの指定管理者としてセンターを任せられ、私は2015(平成27)年3月までそこのセンター長をしていました。今はセンター長を辞めて全国女性会館協議会の常任理事で事務局長という立場です。
 男女共同参画センターの職員だった当時、講座の担当になったのですが、講座を企画しても全然人が集まりませんでした。内容はいいし、素晴らしい講師の先生もお呼びしているのに、何でこんなに人が来ないのかなと思ったものです。見事に人が来なかったので何とかしなければと思いました。その時は公的な補助金をもらって運営をしていたので、無料の講座でしたし、いろいろな公共施設にチラシを置かせてもらったのですけれども、それにもかかわらず集客ができませんでした。しかし、何とか努力と工夫を重ねた結果だんだん集客ができるようになり、その集客の秘密を教えて欲しいというご要望をいただくようになり、各地で企画と広報について講演を依頼されるようになりました。

2.人の集まらない講座の言い訳トップ3

 

1位 「開き直り」
2位 「市民の意識が低い」
3位 「天気が悪かった」
番外編
※人が来ない原因は「企画力」と「広報・PR力」が不足しているだけ

 

 次に、「人の集まらない講座の言い訳トップ3」というところに入ります。人集めができない組織というのは決まって同じ言い訳をします。この言い訳は、私が人前で話しをするようになって丸10年、中身も変わらなければ、順位も全く変わりません。それは北に行っても、南に行っても同じです。特にこの言い訳は非営利で税金を使った講座に多いです。
 どのような言い訳かというと、まず3番目に多いのが「天気が悪かった」というものです。天気のせいにする人は、天気が良い日は、「天気が良すぎて、よそに遊びに行ったのよ」と言い訳をする。ですから改善しないのです。天気以外の原因を探って改善することが重要です。2番目に多い言い訳は、「市民の意識が低い」です。例えば人権、防災、環境問題、男女共同参画など意識を変えてもらいたいような講座に多いです。意識を変えてもらいたいような講座には、意識の高い人ではなく、意識のない人にこそ来てもらいたい。では、意識のない市民に参加してもらうためには、一体どのような企画で、どのようなキャッチコピーで、どこに広報したほうがいいのか、そこを考える必要があると思います。
 そして、第1位は「開き直り」です。生涯学習関係やNPOに多い開き直り方があります。「私たちはこんなにいいことをやっているのだから、いつかは報われる」と。「良いことやっているから、いつかは報われる」、そんな幻想は捨てたほうがいいと思います。やはり数字で結果を出したほうがいいです。数字で表すことができない評価もあると思いますが、数字は重要です。数字でどうやって見せていくか、評価してもらえるかという事を考えていかなければなりません。今は好むと好まざるとにかかわらず、数字で結果を出さなければ仕分けをされてしまいます。費用対効果を見るときは数字の場合が多いからです。では、お金を出す人は誰でしょう。税金の場合は納税者ですよね。納税者の代表の議員さんが見て、効果が出なければ「これはやらなくていいよ。予算削りますよ」と言われてしまう可能性だってあるのです。企画の悪さで集客ができずに、その結果予算が削られる。そういうことにはならないようにしましょう。
 他に、「本当に聞いてほしい人だけに来てもらえばいい」と、こんな開き直りをする方もいます。また、「動員をかけずに定員の半分集まったのだから、今回の講座は成功」だと。定員の半分しか集まっていないのに、成功だなんて言わないほうがいいですね。まず、定員を集める。そこからがスタートラインです。
 「来ないほうが悪い」と、こんなことを言う方もいらっしゃいます。こんな素晴らしい講師の話しを聞かないほうが悪いのだと。その素晴らしさを事前に広報で告知できなかった自分たちの責任だと思ったほうがいいですね。内容が良ければ良いほど、もっと宣伝しておけばよかったなと反省したほうがいいのです。
 保健師さんや図書館の司書さんたち向けの研修講師として依頼される事も多いのですが、専門職の方に多い開き直り方もあります。「私は専門職なのだから、企画には向いていない、チラシ作りのセンスがないのだ」と。しかし、仕事ですからやらなければなりません。向き不向きの問題ではなくて、どれだけ前向きにその仕事に取り組んだのか、その結果が集客に反映するのです。
 行政の職員研修で、一番よく言われる開き直りは、「人が来ないからこそ行政でやる意義がある」というものです。人が来ない事を正当化しているのですよね。
 私たち、税金を使って事業を行っているNPOの合言葉が2つあります。まず1つ目は、「定員割れの講座は税金の無駄遣い」。2つ目は、「手に取ってもらえないチラシは資源の無駄遣い」。この2つの無駄遣いは決してしないようにしようねと、合言葉にしました。
 人が来ないからこそ税金を使う、行政でやる意義がある、だからこそ人集めをしなければいけないと、そんなふうに考え仕事に取り組んでください。
 今、「天気のせいにする」、「市民の意識のせいにする」、そして最後は「開き直る」と言いましたが、番外編というものもあります。
 私が東京からやって来たというだけで、「そうは言っても東京とは地域性が違いますから」と言われてしまうのです。地域性を言い訳にされる方、非常に多いです。確かに、地域性は違うと思いますが、東京にはない、その土地にしかない、東京には負けない、そんな社会資源やネットワークがあるはずなのです。私は地域性というものは、言い訳にするものではなく、活かすものだと思います。

 今日は、私が東京で経験した事例をお話しします。しかも事例の中身は男女共同参画です。地域も違うし、その事例は関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんけれども、「ここは使えそうだな」とか、「自分たちの地域版にアレンジしたらもっと良くなるかも知れないな」。そんなふうに考えて使える所だけでも是非持ち帰っていただければと思います。
 人が集まらない原因というのは、天気のせいでも、市民の意識が低いせいでも何でもなくて、残念ながら自分たちの企画力が不足していて、さらに広報、PR戦略が間違っているだけの事です。自分たちにこそ原因があるという事を自覚しない限り、いつまでたっても同じことを繰り返して、去年定員割れをした企画とチラシを日付だけ変えて使い回すような怠慢な事をします。去年人が集まらなかった定員割れの失敗事例をいくら使い回しても当然今年も失敗ですよね。真似をしていいのは成功事例だけです。去年人が集まったものは、日付だけ変えたとしても、今年も人は集まります。しかし、成功事例でもせいぜい3年ぐらいしか続きません。集客にかげりが見え始めたら企画を変えなければ駄目なのです。

3.企画力向上ワーク 資料1
 これから、具体的にチラシを見ながら話しをしていきたいと思います。
 私がチラシを作る時には、印刷は輪転機を使って印刷をします。チラシは全部手作りです。ただ紙の色はカラー用紙を使って、インクの色は一色刷りか二色刷りで印象を変えて少しでも目立つようにしています。 zuhyo_tokyo7-1
 では、①番のチラシから見ていきましょう。人がチラシを手に取った時に、どこを最初に見るかというと、文字が1番大きなところを見ます。①番であれば、「変わりゆく社会と女男(ひと)」この部分ですね。講座の募集のチラシであれば、何をやるのかというメインタイトルを最も大きな文字にしてください。手に取った市民が最初に見たい情報というのは、「何のお知らせなのか」です。市民が知りたい情報を目立たせるような形にしてください。メインタイトルを大きくし、連続講座の場合は各回の内容を書きます。
 内容に少しでも興味があれば、次に見たいのが、いつ実施するのかです。自分が行ける日にちなのか、時間なのか、ここが気になります。次は、どこでやるのかです。何をやるのか、いつやるのか、どこでやるのか。この3つの情報をチラシの表面にしっかり載せてください。これは必要最低限の情報です。次に定員と参加費です。チラシを何のために作っているのかというと、集客目的なのですから、セールスポイントを載せたほうがいいです。無料というのは、セールスポイントの1つになります。特に映画上映会のような場合には、普段お金を出して見に行かなければならないところが無料なのですから、無料という文字は、目立たせたほうがいいでしょう。企画の売りをどのように目立たせるのか、そこを考える。①番のチラシは裏面が白紙でした。

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次は、②番のチラシを見てください。「幸せオーラを味方につける。女性学講座」これがタイトルです。9月から始まる金曜日の午前中、10回講座です。会場は男女平等推進センター、対象は未就学児を持つ女性。定員は30名、参加費は無料です。裏面には、10回の講座内容や講師のお名前、前回受講した人の感想などが載っています。

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 次は③番です。「いつか来る。おひとりさまの老後を乗り切る知恵と工夫、シニアライフをステキに彩る連続講座」これがタイトルです。2月から始まる月曜日の午後、5週連続講座。最終回の公開講座は曜日が水曜日に変わっています。対象は50歳以上の女性35名、会場は男女平等推進センター、参加費は無料です。裏面は講師のプロフィールや会場までの案内図などが載っています。

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 次は④番目のチラシです。「パパの手で作る赤ちゃんのハッピータイム♪ 人気のベビーダンスとベビーマッサージでイクメンデビュー」これがタイトルです。4月から始まる隔週の日曜の午前3回講座です。会場は男女平等推進センター、対象は生後2か月からハイハイまでの1人目の赤ちゃんと父親。定員は15組、参加費は無料ですね。裏面は中身や申し込み方法、講師の紹介などが載っています。

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 次は、「男の生き方塾。退職後の生きがいがきっと見つかる!」これがタイトルです。10月から始まる水曜日の午後、5週連続講座です。オリエンテーションや調理実習、退職後の過ごし方などがあります。会場は男女平等推進センター他ですね。対象は概ね50歳以上の男性25名、こちらは有料です。調理実習費として参加費は1,000円、ファックス送信表や会場までの案内図などが載っています。
 はい、これで5枚のチラシ解説が終わりました。この5つの企画は実際に東京で行った講座です。

この5つの中で定員割れをしたのは①番です。16人しか応募がありませんでした。④番は15組の定員に対して65組、応募がありました。③番の「おひとりさまの老後」が最も参加者が多かったです。203人もの応募があったのです。この5つの企画の中で、対象者を絞り込んで企画をしていないのは①番だけです。①番は、どんな人にも参加してもらいたいと思っていました。更に①番は主催者側が学ばせてやりたい講座で、市民が学びたい講座ではありませんでした。そこを考えていく必要があるのではないかと思います。

タイトル 定員 応募数
変わりゆく社会と女男(ひと) 先着40人 16人
幸せオーラを味方につける女性学 抽選30人 60人
いつか来る おひとりさまの老後を乗り切る知恵と工夫 抽選35人 203人
パパの手で作る赤ちゃんのハッピータイム 抽選15組 65組
男の生き方塾~退職後の生きがいがきっと見つかる~ 抽選25人 48人

 では、これから一つひとつ企画と広報、2つの側面で解説をしていきます。企画と広報というのはかけ算ですから、どちらかがゼロであれば答えはゼロです。しかし、先に力を注ぐのは企画のほうです。まずは、しっかりとした企画を立ててその後広報をしてください。
 日時をいつにするのか、時期をいつにするのか、回数を何回にするのか、これは全部企画です。そしてその企画の良さを伝え、参加してみたいと思わせるプロモーションツールのひとつ紙媒体がチラシですね。チラシだけが広報ではありませんけれども、一番詳しく情報を載せることのできる媒体がチラシですからチラシで今日は解説します。
 広報媒体に万能な物はありません。チラシ、インターネット、市の広報誌、人それぞれ見る広報媒体は違いますから、いろいろな媒体を使わなければいけません。どんなにいい企画でも、宣伝しなければ集客できません。逆にどんなにいいチラシでも、広報でも、企画が悪ければ集客はできません。デザインがよければ、手に取ってもらえます。しかし、企画が悪ければ申し込みません。やはり、まずしっかりとした企画を立てていかなければいけないのです。

 では、一つひとつ解説していきたいと思います。まず、集客できなかった①番。40人の定員に対してたった16人しか応募がありませんでした。そのうち6人は、私たちスタッフです。10人は、いつものお馴染みさんでした。同じ人しか来ない講座は拡がりがありません。税金を使って実施する事業ですから、参加者がいつも同じでという講座ではいけないわけです。①のチラシは、一見難しそう、堅そうだなと思うのですね。その理由は文字が多くて漢字が多いからです。しかもその漢字が日常会話で使わない漢字です。「男女共同参画」、「方針決定」、「展望」などの言葉は、ほとんど日常会話では使いません。次に、カタカナ語、「エンパワーメント」という言葉も、一般市民はあまり使いません。男女共同参画に関わっている人はこの言葉を使う方がいらっしゃるのですけども、認知度の低い専門用語やカタカナ語を使ってしまうと、それだけでチラシを手に取ってくれなくなります。企画書にはこのような言葉を載せてもいいのですが、市民向けの広報物には市民が理解できる、分かりやすい言葉に変換した上で載せたほうがいいと思います。
 さらにメインタイトルは、「変わりゆく社会とひと」です。「それがどうしたのよ」と思われるようなタイトルだと集客できません。社会背景は決してタイトルにしないほうがいいのです。社会背景をタイトルにしても興味を持ってくれません。人がどうして講座やイベントに参加するかというと、残念ながら社会問題を何とかしようと思っているわけではなくて、自分にとって必要な情報が得られると思うから参加するのです。「あなたにとって必要な情報が得られますよ」という事が分かるようなタイトルにしたほうがいいし、できればこの講座を受講したら、「私がどうなれるのか」ゴールが見えるタイトルのほうが市民は興味を持ってくれます。
 タイトルは多少長くてもいいです。多少長くてもいいので、ゴールが見える、しかも断定形のタイトルにしてください。疑問形のタイトルはつけないほうがいいです。言葉の意味を市民にたずねるタイプです。「人権ってなに?」、「DVってなに?」などですね。意味を知るために講座に来るわけではありませんし、今はインターネットで調べれば簡単に分かりますから、言葉の意味を市民にたずねるタイプのタイトルは避けましょう。しかし、1番多いパターンです。
 タイトルはじっくり考えないと駄目なのです。タイトルを考えるためにも、やはり企画が重要です。市民にとってどんなメリットがあって、どのようなことが身につくのかということが分かる企画にしないとタイトルも考えられません。この①番は、「保育つき」という言葉が目立っている割には5回目に年金の話がきていて、いったい誰に聞いてほしいのかさっぱり分かりません。企画内容が総花的になっているのですね。最終回に来てくれたのは、なんと、1人でした。チラシに「グループ討議・発表」と書いところ、人が来なくなりました。チラシを見た人は、発表をさせられるのであれば行くのをやめようと思ったみたいですね。行きたくないなあと思わせるような言葉は載せないほうがいいと思います。ただ載せないだけで、実施するなと言っているわけではありません。グループ討議や発表はやったほうがいいと思います。企画書に載せた内容を全部広報物に載せればいいというものではないということです。集客チラシは、集客に徹してください。集客にしっかり徹して、集客してからグループ討議・発表をやってください。
 皆さんが作るチラシは、啓発チラシと集客チラシ、2種類あると思います。今日私が説明するのは集客チラシのことです。その理由は結果が見えるからです。何人集客できたかということが分かるから集客チラシで説明しています。しかし、啓発チラシも基本は一緒です。啓発チラシの場合は、何人の市民がこれを読んだかということが数量化できませんから、この集客チラシのほうで説明していきます。しかし、基本は同じだと思ってください。
グループ討議や発表は実施したほうがいいのです。やはり参加型のほうが受講者の満足度が上がりますから、短時間でも参加型を入れ込むような企画内容にしてください。ただし、参加型は宣伝チラシではあまり強調しすぎないのがポイントです。

 このように書いたがために人が減る、そういう言葉を私は「NGワード」と言っていますが、①のチラシには他にも「NGワード」が載っています。例えば、「原則として各テーマすべてに参加していただける方」といった言葉です。全回出席してくださいと書いてあるわけです。これを書かれてしまうと、ますます申し込みにくいと思いませんか。「全回出席しなさい」と書いていい場合というのは、確実に定員オーバーするという自信がある時だけです。自信がある時に条件を厳しくしてください。参加する市民にとっては連続物よりもばら売りの方が参加しやすいはずです。①は、「NGワード」はいくつか載っているのに、チラシに載せなければいけない内容が載っていません。それが会場の住所と地図ですね。
 私は手作りのチラシであれば、チラシの両面を使ったほうがいいと思っています。両面使うことによって、情報を倍載せることができるからです。ただし、市民にとって優先順位の高い情報から表(おもて)面に載せるようにしてください。会場までの地図や、申し込み方法などは裏で十分です。情報を整理してください。
 実は、①番の企画とチラシは、2003年に私が生まれて初めて作ったものなのです。私は最初から集客できるような企画を作れたわけではなくて、最初はこんなものしか作れませんでした。これをどうやって作ったかと言えば、前の年に定員割れをしたものを見ながら、同じように作ったのです。日付だけ変えて。私も、さっきお話しした言い訳トップ3を何度も何度も言っていました。しかし、いくら言い訳をしても人は増えないと少しずつ気づいてきました。2003(平成15)年の1年間で私は10以上の講座を企画しなければいけなかったのですが、全部定員割れで全く集客はできませんでした。
 しかし、この1年間で私は自分の失敗講座を分析したのです。何で集客できなかったのか、しっかり分析をして、次の講座は何でもいいから改善をしようと心がけたのです。集客できなかった企画とチラシを分析するほど難しいことはないのですね。成功事例は参加者に受講動機を聞けばいいのですから簡単です。しかし、集客できなかった講座は、なかなかリサーチができずにいました。
 今であれば分かります。どうして人が来ないのかは簡単です。3つしか原因がないのです。人が来ない原因の1つは、企画そのものにニーズがない場合です。ニーズがなければ難しいですね。しかし、ニーズがないものでも、ニーズがあるものと抱き合わせにするなど工夫することはできます。2つ目は、組み立て方が悪いのです。回数が多い、その時間帯では参加できない、時間が長いなどの原因が考えられます。しかし、これは、組み立て方を変えれば参加者が増える可能性があります。3つ目は、広報が行き届いていないということです。講座が終わってしまってからチラシを見た人が、「えっ、こんなのあったなら、私、行きたかったわ」と言われるような企画だとニーズはあるのです。広報が悪かったから、市民に届かなかっただけなのですね。これは広報の仕方を変えれば集客できる可能性があるということです。今であれば分かりますけれども、12年前の私は全くそこに気づかなかったので、小さな改善から始めていきました。
 まず、他の地域で人が集まった講座を調べて、真似をさせてもらいました。しかし、そっくりそのまま真似をしただけでは駄目で、やはり自分の地域版にアレンジすることが必要です。
 また、ニーズを掴むために、いろいろな研修に顔を出しました。そこで、情報を集めて、それをうまく自分の住んでいる地域版にアレンジしながら、繰り返し実施したところ、2年目から少しずつ集客できるようになってきたのです。最初は、「まぐれかなあ」と思ったのですが、次も、その次の講座も人が来る。「これはまぐれじゃない」と思って、今度は集客できた企画とチラシを分析したのです。その結果、人集めには法則があるという事に気がつきました。
 法則は、「目的を出さない広報戦略」「対象者を絞り込んで企画する」「タイトルにこだわる」の3つです。
 まず、1つ目の法則です。私が企画する講座の目的はすべて男女共同参画です。しかし、男女共同参画という漢字六文字に興味を持っている市民はほとんどいませんから、男女共同参画という言葉をチラシの前面に出すと人が集まりません。目的を出すと目的が達成できなくなってしまうのです。そこで、「目的を出さない広報戦略」に変えました。もうここは集客に徹し、集客してから私たちの目的を話せばいいと思ったのです。
 2つ目の法則は、「対象者を絞り込んで企画する」こと。年齢が違う、性別が違う、ライフスタイルが違うと人それぞれ価値観が違います。興味も違うし、抱えている課題が違うのです。この抱えている課題が解決できるような講座だと集客できます。男女共同参画社会が実現できていないから浮き彫りになる地域課題、ここに私たちはフォーカスして企画を立てるようにしました。そして、しっかり対象者を絞り込んだのです。しかし、それは企画の時だけで、対象者を絞り込んだことを必ずしもチラシに書く必要はないのです。企画者がどんな人を集めたいと思っているのか、そこがポイントです。
 3つ目は、タイトルにこだわらないと駄目だという事です。タイトル一つで集客できるのです。キャッチコピーは本当に重要です。キャッチコピーの重要性を思い知らされたので、タイトルはしっかり考えるようになりました。
 この3つの法則に則って企画をしてチラシを作ったのが、②番から⑤番のものになります。講座に人が集まるようになってからは、申し込み先着順をやめて、すべて抽選にしました。なぜかというと申し込み先着順の場合リピーターの人が誰よりも早く申し込んで来るので、同じ顔ぶれになってしまうからです。抽選は面倒くさいです。全員受け付けておいて、抽選結果をまた全員にお知らせしなければならないため、手間暇がかかるのですね。しかし、どうせ手間暇をかけるのであれば、はずれた人にこそ丁寧に返信文を作り、更に次の講座の案内までしてしまおうと考えました。こうすれば関心のある人にダイレクトに次の講座の案内ができますから、宣伝のできる絶好の機会としてとらえるようにしました。
 連続講座の場合、重要なのは1回目です。1回目が面白かったら、2回目からは来てくれます。1回目は、講師は呼ばずにオリエンテーションをしますが、特に対象者をしぼったものは、仲間作りができるような仕掛けをしていったほうがいいですね。東京の場合は、夫の転勤などで専業主婦になった人が多いので、机を全部しまって、「出身地別に日本地図を作ってください」といったゲームなどをします。これは東京ならではのゲームかなと思います。福岡出身の人が都内で、熊本の人や鹿児島の人に会った、それだけでも話がはずみます。共通の話題って人を笑顔にさせますからね。同じ九州だというだけで、もう嬉しくてたまらないのです。そういうワークをいくつかやって仲良くなったところで、今度は、イスを顔が見えるように円にして、一人ひとり自己紹介も兼ねて受講動機を発表してもらいます。この受講動機は次の講座のヒントになります。

 

 ②番の「幸せオーラを味方につける女性学講座」について、全員に受講動機を聞きました。
 1番多かった受講動機は、「幸せオーラを味方につけたいと思いました」です。タイトルに惹かれた人が非常に多かったのです。これが、もしも「女性学講座」だけだったら集客できなかったと思います。ゴールが見えませんからね。ゴールは「幸せオーラを味方につける」という、この部分なのです。ですから、「幸せオーラを味方につける子育て講座」でも集客できると思います。
 この講座は「オーラの泉」というテレビ番組がとても流行っていた時に企画したものです。流行りの「オーラ」という言葉をタイトルの中に入れました。言葉をゼロから探すのは大変です。私たちはコピーライターではありませんから、既存のもので人気のあるもの、売れている本などからニーズを掴み、言葉を一部分だけ使うのです。全部流行り言葉を使うことはやめたほうがいいと思います。特に税金を使った事業の場合には、流行り言葉をやたらに使うと、何かふざけているように市民に思われてしまいます。去年作ったチラシは、サブタイトルに「ありのままの自分がもっと輝く」というようなサブタイトルにしました。子育てママの講座の時には、あのアナと雪の女王の「ありのまま」という言葉を持って来たのですね。何か聞いた事があるなあと思うような言葉は、記憶に残るのですね。そういったものを使って、キラキラしたようなチラシにしています。
 2番目に多かった受講動機は、「保育つきだから参加しました」です。この「保育つきだから」という受講動機は、9月に行なうといつも上位にランキングされます。9月は夏休み中ずっと子どもと一緒で、子育てに疲れ気味のママが、「ちょっと、うちの子誰か預かってくれないかな」と思う時期のようです。保育つきという言葉が、子育て中のママにとっては、魅力的な言葉なのだということが発見できれば、次に作るチラシのレイアウトが変わってきます。
 次はチラシの作り方になります。チラシを作る場合、必ずチラシの紙の大きさは、A4サイズで縦置きにしてください。公共施設のチラシラックは、A4サイズが縦に入る物しか存在しません。上3分の1のスペースを使って、できるだけ大きく目立つ字で、ゴールの見えるタイトルを配置してください。チラシラックに置いたとき、半分以下は別のチラシが重なっていますから、上の部分しか見えないのです。タイトルで市民が興味を持ってくれないと、手には取ってくれません。横書きのチラシの場合、人は左上から読み始めるので、左上の辺りはゴールデンスポットになります。ここに魅力的な言葉を持ってくるのです。子育て中のママにとって、「保育つき」は魅力的なのだということが発見できたら、今度は、ゴールデンスポットに「保育つき」を持ってこようとレイアウトが変わってきます。
 次に対象者を持ってきます。「パパのための~」、「子育てママの~」、「40代からの~」といったものです。ゴールデンスポットは、横書きの場合は左上ですが、縦書きのチラシを作る場合には、右上3分の1に変わります。縦書きは右側から読み始めますから、目立たせる位置が変わってくるのです。
 3つ目に多かった受講動機は、「友達ができるかもしれない」というものです。この友達ができるかもしれないという受講動機は、対象者をしぼらないと出てきません。この講座は、子育て中の専業主婦をターゲットにしているので、平日の午前中に設定しています。子育て中の専業主婦が連続講座に参加できるのは、平日の午前中だけですから、対象者を絞ることができれば、曜日と時間が決まってきます。チラシを手に取った人は、「10回も面倒くさいなあ」と思いますが、そこに行けば自分の居場所がある、仲間がいると思えば、10回でも来てくれます。
 ①番の企画は、対象者を絞り込まずに、誰にでも来てほしかったので、土曜の午後にしましたが、土曜の午後は誰も来ないと思ったほうがいいです。対象者を絞り込んだ土曜の午後であれば人は来るかもしれませんけれども、対象者を絞り込まない土曜の午後は、特に連続講座の場合は、大失敗してしまう可能性が高いです。
 前回受講した人の感想を載せるのもチラシの作り方の1つです。主催者がどんなに「いい講座ですよ」と言うよりも、受講者の生の声のほうが伝わりやすいので、アンケートからいい意見だけを抜粋して載せています。
 若い人は、スマートフォンや携帯メールで申し込んで来ますから、立体バーコード(QRコード)を載せています。この立体バーコード(QRコード)は、チラシよりもポスターの時に効果的です。チラシは持ち帰りができますが、ポスターは、貼ってあるものを見る事しかできませんから、あとからゆっくり申し込もうと思った時に携帯に保存してもらえるのです。

 次は③番です。「おひとりさまの老後」というタイトルのチラシですね。上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」という本がベストセラーになりましたが、ニーズがあるからあの本があんなに売れたのです。ポイントは、その本のタイトルが講座のタイトルの中に入っていることです。そして、もうひとつのポイントは、「いつか来る」という言葉が入っていることです。「いま、夫婦揃って元気だとしても、いつか私が1人になるわ」と女性の多くが思っているので、「この講座に行ってみれば、自分が抱えている課題を乗り切る知恵と工夫が学べるかもしれない」と、魅力を感じるのですね。
 このチラシはメインタイトルだけでも24文字もあるのですが、単語ごとに文字の大きさを変えることによって、読ませたい単語だけを読ませる工夫をしています。長いタイトルの場合は、メリハリをつけてください。メリハリをつけて、魅力的な単語を目立たせるような形にしたほうがいいと思います。
 子育てを終えた中高年の場合は、平日の午後のほうが集客できます。午前中に家の事をすませて、堂々と出かけたいという人が増えているのです。このチラシでは、対象を50歳以上の女性と書いているのですが、本当に来てほしい対象者は元気な60歳代です。元気な60歳代に来てほしいから、わざとマイナス10歳で50歳以上と書いているだけです。ここで60歳以上と書くと申し込みをしてくれません。シニアは、若い人の間に入りたいと思っている人が結構多いので、シニア向けの企画をする時には、年齢の表現の仕方を変えたほうがいいですし、イラストも考えたほうがいいと思います。おばあさんのイラストだけは入れないほうがいいですね。イラストは重要です。言葉づかいも重要です。「高齢者」、「シルバー」といった当事者が嫌がるような言葉は載せないほうがいいと思います。最終回は、上野千鶴子さんが講師です。75万部を超えた話題作「おひとりさまの老後」の表紙も載せて情報を枠で囲む、それだけで情報が整理されます。目立たせたい情報は枠で囲むのが鉄則です。
 私たちはこの企画の中に男女共同参画の中身をしっかり入れました。しかし、それだけではなく60歳代が抱える課題を解決できるようなに「介護予防」や「振り込め詐欺に遭わないために」などを入れました。しかし、タイトルに「振り込め詐欺に遭わないために」という言葉は入れません。なぜかというと、振り込め詐欺の被害者は圧倒的に高齢の女性が多いのですが、被害にあったうち9割の人は、「まさか自分が遭うとは思わなかった」と答えています。その方たちに向けて、「振り込め詐欺に遭わないために」というタイトルで講座を募集しても来るわけがないからです。ゴールは、「自分のお金と体を守りたい」ということですよね。ゴールの見せ方を間違ってしまうと集客できるものもできなくなってしまいますから気をつけてください。当事者が何を課題としてとらえていて、どんな表現でタイトル持ってきたほうが集客できるのか、そこはしっかり考えたほうがいいと思います。

 次は④番です。タイトルは、「パパの手で作る赤ちゃんのハッピータイム」です。こちらは15組の定員に対して65組の応募がありました。働き盛りの男性に講座に来てもらいたい時には、子どもとセットにする、これがポイントです。この講座は男性の育児参画を目的とした講座です。中学校の家庭科が男女共修になった世代というのは、結構、家事や育児に抵抗がなくなっているのですね。それを肌で感じます。具体的には35歳以下ぐらいです。その世代のパパは普段は仕事が忙しくてなかなか子どもと接する時間が少ないことに悩んでいるので、悩んでいることが解決できるような講座だと集客できます。子どもとセットにするとしても、ママばかりの中に男1人では居心地が悪いので、そこに集まるのはパパがメインだという事が分かるような形にしました。パパをメインにするというのが、パパを増やすポイントです。土日がお休みの会社員であれば、日曜日の午前中であれば集客できます。ただし、フルタイムで働いているパパを対象にするのであれば隔週にしたほうがいいと思います。対象によって回数や間隔は変わってきます。
 このチラシは、ママ向けに作ったものです。ママが「こんなの見つけたわよ」と、家に持って帰って来るのですね。誰がチラシを持って帰るのか、そして決定権は誰にあるのかによってチラシの作り方も変わってきます。子ども向けのチラシだからと言って全部ひらがなにする必要はありません。決定権は保護者にありますから、保護者向けに作ったほうがいいのです。このチラシは、かわいらしいイラストを入れて、ママが手に取りやすいようにしました。
 裏面には、「申し込みが殺到する人気講座がバージョンアップして今年も開催」と書いてあります。1回目で集客できたものは、こんなふうに人気講座ですよ、ということをしっかり知らせる。それも宣伝の1つになります。
 若い人や外国人向けの広報物は、できるだけ文字数を減らしましょう。イラストをたくさん入れて、ビジュアルに訴えるようにしてください。読ませるチラシではなくて、見せるチラシを作るようにしなければ読んでくれません。講師のプロフィールも長々と書かずに、肩書き以外にこの人はこんな人物ですよという1行キャッチコピーでチラシを作ることをお勧めします。

 ⑤番目は、退職後の男性の地域デビューを目的とした「男の生き方塾」です。上3分の1のスペースに、ゴールも見えるし、やることも全部含めています。2年間連続で定員割れしてしまった企画だったので、もう定員割れをおこすことはできないという事で、満を持して私が引き取って企画したものです。「退職後の生きがいがきっと見つかる!」というサブタイトルに惹かれて申し込みましたという人が非常に多かったですね。「このチラシ、図書館でとても目立っていました」と言われました。退職後の男性は、結構図書館やハローワークに行かれるので、このチラシを置かせてもらったのです。
 「男の生き方塾」の対象は50歳以上の男性にしました。男性の中には、50歳代で退職をした人も結構いらっしゃる。介護離職やリストラ、病気になって早期退職した人にも来てもらいたいと思ったので、50歳以上という形にしました。同じ50歳でも男性と女性とでは、意味合いが全く違います。男性の場合は、なかなか行き場がないのですよね。また、調理実習を入れると集客ができます。しかし、単なる調理実習ではなくて、「プロから学ぶ」、「地元で評判のシェフから習う」といった一言を入れるだけで違います。チラシというのは、企画の良さを伝えて、行ってみたいと思わせるプロモーションツールです。それを理解していただきたいと思います。
 裏面にファックス送信表を載せていますが、中高年の男性はファックスで申し込む人が多いので載せているのです。申し込み媒体も年代によって違いますが、5~6年も経てばすべてメールになるのではないかと思います。

4.「企画力」と「広報力」向上のために

 

 ここには、『企画力と広報力向上のために』私が日頃から実践していることを載せました。

□他地区や同業他社の講座の内容、人の入りをリサーチ
□参加動機をリサーチ
□アンケート結果を分析
□対象者が読む雑誌の企画内容をリサーチ
□積極的にいろいろな講座や研修に参加する(講師選び、仲間づくり)
□年齢・性別・ライフスタイル・仕事が異なる人と会話する機会を自ら積極的に設ける
□ベストセラーの本や視聴率の高いテレビ番組を調査する
□対象者の会話をそっとチェック
□既存の広報ルート以外の広報手段を探すこと
□対象者に響く言葉を探る(電車の中、街の看板、ラジオ等)
□あらゆるところにアンテナをはっておく
□パソコン技術を磨く!(ワードの簡単なテクニックでチラシが変身する!)

 

 私が一番ためになっているのは、上から4つ目。対象者が読む雑誌の企画内容をリサーチすることですね。雑誌はしっかり対象者を絞っていて、対象者が今知りたい企画を特集し、対象者がお金を出しても買いたくなるようなキャッチコピーを表紙に載せています。中身を見なくていいですから表紙だけ見る癖をつけて、企画とキャッチコピーを参考にするといいと思います。
 そして、アンケート結果の分析です。アンケート結果を分析するためには、回収率100%を目指しましょう。100%を目指すための簡単な方法は、講座の時間内にアンケートを書いてもらう。これだけです。10時から12時までの午前中の講座であれば、講師には「11時55分に必ず終わってくださいと」お願いしておき、残り5分でアンケートを書く時間を作る。そうすることによって確実に回収率は上がります。

5.キャッチコピーは集客の重要な要素
(1)こんなタイトルでは人は集まらない
 ●法律・条例の文言そのまんま型 「人権啓発推進講座」「地域福祉計画説明会」
 ●言葉足らずで内容不明型 「マナー講座」「健康講座」「地域連携講座」「環境学習会」
 ●だじゃれ系 「○○しま専科」「俺たち団快世代」
 ●社会背景タイトル型 「晩婚化と男女のゆくえ」「男女共生時代を生きるわたし」
 ●疑問系 「協働って何?」「NPOって何?」「地球温暖化って何?」「ファミリーサポートとは?」
 ●認知率の低い専門用語型 「ワークライフバランス」「メディア・リテラシー」
 ●相手の立場を否定型 「おやじ改造講座」「子どもに嫌われないための講座」
 ●レッツ系 「人権を今学びあおう」「地域で子育てを楽しもう」
 ●人に言えないタイトル型 「尿失禁講座」「DV被害者セミナー」

(2)キャッチコピーのポイント
 ■ゴールが見える、対象者がわかる断定系
 「子育てママのためのお金がたまる家計術」
 「ココロとカラダが軽くなる!癒しのヨガストレッチ」
 「その一言を相手に伝えるコミュニケーション術」
 「もうひとはな咲かせるための女の生き方塾」
 「育休ママのためのパワーチャージセミナー」

■講師のセールスポイントを入れ込む
 「申込倍率3.3倍のカリスマプランナーから学ぶ広報セミナー」
 「有名シェフが直接指導!男の料理教室」
 「名人から教わる手打ちそば作り」
 「人気コメンテーターに聞く世界の『いま』」
 「地元で評判のドクターから学ぶ健康講座」
 「あのプレゼンの達人によるスペシャル講演会」
 「○○市が生んだ女性トップリーダーから学ぶ成功セオリーと仕事術」
 「『江』『篤姫』の人気脚本家が贈る 歴史と人生の舞台ウラ」

■子ども向け、親子ものは楽しそうなタイトルを
 「夏休みだよ!パパとキッズのチャレンジ大作戦」
 「親子でつくろ!ゲキうま クリスマス料理」

■女性向けはハードルを下げる言葉を入れる
 「夢をカタチにするためのぷち起業家入門講座」
 「教養講座 初めての源氏物語」
 「電源を入れることから始める! 60歳からのパソコン講座」

■リズム感のある七五調のタイトル
 「子育ての合間にサクサクできる 簡単ブログ」
 「親子de 安心 護身術」

■タイトルが変えられない映画の場合(ヒットした映画ではない場合)
 内容がわかる簡単なキャッチコピー+俳優、監督、脚本、音楽家、とった賞、観客動員数等々映画をとりまく「背景」を目立たせる

 『人が集まるようなキャッチコピーのポイント』は、いくつかあります。
 1つ目は、「ゴールが見える。そして対象者がわかる断定形」というパターン。2つ目は、「講師のセールスポイントを入れ込む」というパターンです。これは大きな講演会の場合に効果的ですね。例えば、「申し込み倍率3.3倍のカリスマプランナーから学ぶ広報セミナー」。これは私のキャッチコピーです。「坂田静香から学ぶ広報セミナー」だと集客できません。私がよっぽどの有名人だったら別ですけれども、そうでなければ人の名前を入れても意味がありません。是非、講師の人物像が分かるような魅力的なキャッチコピーを考えてください。「人気コメンテーターに聞く、世界の今」、「地元で評判のドクターから学ぶ健康講座」など、講師がどのような人なのかということを入れるのもひとつです。また、子ども向け、親子向けは楽しげなタイトルがポイントですね。女性向けは、「ぷち起業入門講座」、「はじめての」などの、ハードルを下げる言葉を入れてあげると、控え目な女性は申し込もうかなあという気になると思います。他にも、リズム感のある7・5調のタイトルというのもありますね。「子育てのあいまにサクサクできる簡単ブログ」、「親子de安心護身術」など、リズム感あるタイトルだなあと思ったら、たいてい7文字5文字の組み合わせが多いです。 
 では、タイトルが変えられない映画の場合はどのようにしたらいいでしょう。特にヒットした映画でない場合はどうするのか、まずどんな人に来てもらいたいか対象者をしぼった上で、内容が分かる簡単なキャッチコピーを載せるのです。そして、対象者がよく知っている映画に出ている俳優の名前、監督の名前、脚本家、音楽家、賞、受賞歴、日本アカデミー賞ノミネート作品などです。周りの背景を目立たせることによって、行ってみたいと思わせるような形にするというのがポイントです。また、「無料映画上映会」といったものをゴールデンスポットに持ってきて工夫するといいと思います。