市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書 (自由権規約第一選択議定書)
[ 編集者:人権教育研究室 ]
一九六六(昭四一)・一二・一六 第二一回国際連合総会で採択
一九七六(昭五一)・三・二三発効
この議定書の当事国は、
市民的政治的権利に関する規約(以下「規約」という。)の目的をさらに実現し、かつ、その規定を実施するためには、規約第四部において設置される「人権委員会」(以下「委員会」という。)が、この議定書に定めるところにより、この規約に定める権利の侵害の犠牲者であることを主張する個人からの通報を受理し、かつ、審議しうるようにすることが適当であると考え、
次のとおり協定した。
第一条 規約の当事国であつて、この議定書の当事国となるものは、その管轄下にある個人で規約に定めるいずれかの権利が右の当事国によつて侵害されたと主張するものからの通報を、委員会が受理し、かつ、審議する権限を有することを認める。委員会は、規約の当事国であるが、この議定書の当事国でないものに関するいかなる通報も、受理してはならない。
第二条 第一条の規定を留保して、規約に列挙する権利のいずれかが侵害されたと主張する個人であつて、利用しうるすべての国内的救済手段を尽したものは、委員会に審議を求めるため、文書による通報を提出することができる。
第三条 委員会は、この議定書による通報であつて匿名のもの、又は同委員会によつて通報提出の権利の濫用であり若しくは規約の規定に抵触すると考えられるものは、すべて受理することができないと宣言する。
第四条
1 第三条の規定を留保して、委員会は、この議定書によつて提出されたすべての通報について、この議定書の当事国であつて規約のいずれかの規定を侵害していると主張されているものの注意を喚起する。
2 前記の当事国は、六箇月以内に、問題を明らかにし、かつ救済手段が存在する場合には、当該国によつて執られた救済手段を明らかにする説明書、又は声明書を委員会に提出する。
第五条
1 委員会は、個人及び関係の当事国によつて提供された文書によるすべての情報に照して、この議定書によつて受理された通報を審議する。
2 委員会は、次のことを確認した場合を除き、個人からのいかなる通報も審議しない。
(a) 同一の問題が他の国際的調査又は解決の手続の下で審議されていないこと。
(b) 当該個人が利用できるすべての国内的救済手段を尽したこと。この規則は、救済手段の実施が不当に遅延する場合には、この限りではない。
3 委員会は、この議定書による通報を検討する際には、会合を非公開とする。
4 委員会は、関係当事国及び個人にその意見を送付する。
第六条 委員会は、規約第四五条による年次報告の中に、この議定書による活動の概要を含める。
第七条 一九六〇年一二月一四日、国際連合総会によつて採択された植民地及びその人民に対する独立付与宣言に関する決議一五一四(XV)の目的が達成されるまでの間、この議定書の規定は、国際連合憲章並びに国際連合及びその専門機関の下に締結された他の国際条約及び文書によつて、前記の人民に付与された請願の権利を何ら制限するものではない。
第八条
1 この議定書は、規約に署名したすべての国による署名のために開放される。
2 この議定書は、規約を批准し又は規約に加入したすべての国による批准を必要とする。批准書は、国際連合事務総長に寄託するものとする。
3 この議定書は、規約を批准し又は規約に加入したすべての国による加入のために開放される。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによつて、行なわれる。
5 国際連合事務総長は、この議定書に署名し又は加入したすべての国に、各批准書又は加入書の寄託を通知する。
第九条
1 規約の効力発生を条件として、この議定書は、一〇番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の三箇月後に効力を生ずる。
2 一〇番目の批准書又は加入書の寄託後にこの議定書を批准し又はこれに加入する各国については、この議定書は、その国の批准書又は加入書が寄託された日の三箇月後に効力を生ずる。
第十条 この議定書の規定は、いかなる制限又は例外もなく連邦国家のすべての地域に対して適用される。
第十一条
1 この議定書のいずれの当事国も、改正案を提案し、これを国際連合事務総長に提出することができる。事務総長は、これを受けて、この議定書の当事国にすべての改正案を通報し、当事国としてこれらを審議し、又はこれについて投票するために、当事国の会議を開催することに賛成するか否かを、事務総長に通告するよう要請する。当事国の少なくとも三分の一がこの会議に賛成するときは、事務総長は、国際連合の主催により会議を召集するものとする。会議に出席し、かつ、投票する当事国の過半数によつて採択された改正案は、国際連合総会に提出してその承認を求めるものとする。
2 改正案は、国際連合総会によつて承認され、かつ、この議定書の当事国の三分の二の多数により、それぞれの国の憲法上の手続に従つて受諾されたときに、効力を生ずる。
3 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した当事国を拘束し、他の当事国は、引き続き、この規約の規定及びすでに受諾したそれ以前の改正によつて拘束されるものとする。
第十二条
1 いずれの当事国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告によりいつでもこの議定書を廃棄することができる。廃棄は、事務総長による通告の受領後三箇月で、効力を生ずる。
2 廃棄は、その効力発生の日以前に第二条によつて提出された通報に対して、この議定書の規定を引き続いて適用することを妨げない。
第十三条 第八条の5によつて行なわれる通知とは別に、国際連合事務総長は、規約第四八条の1に掲げるすべての国に次の明細を通報するものとする。
(a) 第八条による署名、批准及び加入
(b) 第九条によるこの議定書の効力発生の日及び第一一条によるすべての改正の効力発生の日
(c) 第十二条による廃棄
第十四条
1 この議定書は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による本文をひとしく正文とし、国際連合の記録に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この議定書の認証謄本を規約第四八条に掲げるすべての国に送付する。
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主要な人権関係条約
市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書(個人通報制度) Optional Protocol to the International Covenant on Civil and Political Rights
情報の種類 | 主要な人権関係条約 |
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タイトル | 市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書(個人通報制度) Optional Protocol to the International Covenant on Civil and Political Rights |
時期 | 1966/12/16 |
主体名 | 国際連合 |