- 著者
- ジム・ウーテン 著/酒井 泰介 訳
- 出版社
- 早川書房
- ページ数
- 250
- 制作年
- 2006
資料内容
4300万の人口を抱える南アフリカ共和国では、国民の10人の1人がHIVに感染し、毎日多くの人々がエイズで死亡し、またウイルスを他人や自分の子に受け渡している。この国でエイズ禍が広まった背景には、暗い人種差別の歴史、そして「エイズなど存在しない」と頑なに主張するターボ・ムベキ大統領の妄執があった。ムベキはある程度の効果が認められている抗エイズ薬を南アで認可するのを拒み続けているのだ。ズールー族の貧しい家に生まれたンコシもまた、生まれながらにしてHIVに感染していた。幼くして余命いくばくもないと診断された息子に少しでもましな生活をさせたいと願う母は、エイズ患者のホスピス施設を運営していたゲイルにンコシを託す。その日から養母ゲイルとンコシの愛と勇気の日々は始まった。ンコシの学校入学をめぐる騒動、施設の苦しい経済状況、そしてエイズ患者差別撲滅のためのPR活動。チャーミングで健気なンコシは世界中の反エイズ運動のシンボルとなったが、病魔は確実に彼の小さな体を蝕んでいた…。ンコシの魅力にとらわれた一流のジャーナリストが、驚くべき南アのエイズ事情や社会背景も解説しつつ、ンコシの短くも勇気に満ちた生涯を共感豊かに描くノンフィクション。2004‐2005年度ロバート・F・ケネディ賞受賞作。